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最低賃金値上げはどこまで続く?課題は山積

 

 先日、ふと目にしたニュースで「最低賃金値上げを求めるデモ」の様子が紹介されていました。

 

働く人のうち、非正規雇用労働者が実に4割を超える日本においては、もはや小さな問題ではありません。

 

気になって少し調べてみたところ、非正規社員がフルタイムで労働して得られる平均賃金は正社員の約6割とのこと。真面目に働いているのに貧しい生活を強いられる、いわゆる「ワーキングプア」が年々増加している状況は、国家としても危機感を覚えているに違いありません。

 

ちなみに現在の最低賃金は全国加重平均で「823」円。10年前の2007年が加重平均「687」円だったことを考慮すると、「意外に大きく伸びているのでは?」と感じる人もいるでしょう。

しかし世界を見渡せば、先進国の中において日本の最低賃金はまだまだ標準的とは言えません。

 

■欧米と比較した最低賃金
※2016年7月時点(為替レートも同時期)

・フランス:1,080円
・ドイツ:950円
・イギリス:942円
・日本:798円

 ヨーロッパは2016年時点で最低時給1,000円前後と、日本に比べると明らかな非正規雇用労働者への待遇の違いが見て取れます。
また、アメリカは州ごとの法律の違いなどにより一概には言えませんが、段階的に時給を15ドル(日本円にして約1,500円)まで引き上げる動きも広がっており、世界的に見ても日本の水準の低さは際立っている状況です。

 

ただ、問題は最低賃金の額だけではありません。

 大きな問題として挙げられるのは地域格差
現在、時給が一番高い東京では「932」円、逆に一番低い沖縄・宮崎では「714円」と、地域によって実に200円以上もの差が開いているのです。
もちろん物価や働き口の量に違いがある為、多少の差が開くのは仕方ないでしょう。
しかしこれだけ大きな開きが出てしまっては、大都市への労働力流失に拍車がかかってしまう可能性も大いに考えらます。結果、地方の人口減少も比例して増加の一途をたどり、更なる地域格差を生んでしまう…。
このような懸念を払しょくするためにも、最低賃金の全国格差については慎重に議論を重ねて欲しいとところです。

 

そしてもうひとつ。一番の課題と言えるのは、やはり雇用側へのサポートです。
最低賃金値上げは=雇用側の負担を増加させることを意味します。特に中小零細企業の場合は人件費がダイレクトに経営そのものに響いてくるケースも珍しくありません。

 

事実、日本と比べて平均賃金の高さで勝る欧米では、中小企業に対する減税や保険料負担の緩和など、様々な支援が実施されています。
賃上げしやすい環境を整えることで企業側から合意を得ている訳です。

当然日本でもこうした支援制度の整備は不可欠になるでしょう。また、日本独自の下請けに対する悪しき慣行を正す政策も必要になるかもしれません。いわゆる「下請けいじめ」、値引きの強要や買いたたきによる中小企業の圧迫を正す政策です。

 

このように最低賃金値上げを実現するには、まだまだ解決すべき問題が山積みの日本。

 

非正規労働者全てにとって恵まれた環境が整う日は、果たしていつか訪れるのでしょうか。